














完成:2025年3月
敷地:鹿児島県大島郡瀬戸内町
用途:一戸建ての住宅
構造・規模:木造1階建て
敷地面積:231.48㎡(70.0坪)
建築面積:99.48㎡(30.0坪)
延床面積:98.93㎡(29.9坪)
構造設計:円酒昂/円酒構造設計
施工管理:池畑嘉教+政和豊/政建設
建築写真:©株式会社アトリエあふろ 古川 公元
奄美大島南部の新興住宅地において、街とつながる軒下を持つ、夫婦+子ども4人の6人家族のための住宅である。
周辺には古くからあるような佇まいの民家は見られない奄美大島の文脈から切り離されたやや近代的印象の住宅地において、その周辺環境を一時代の流れを切り取ったものとしてポジティブに評価しながら島に根付いた住宅形式を取り入れることで、表層的な建築様式やスタイルにとらわれない普遍的な形式を目指した。
街とつながる軒下部分は【来客のための玄関】【雨をしのぎながら集まる場】【リビングの拡張】など様々な用途の重ね合わせの場であると同時に、リビングを表通りから隠すカーテンのような機能も期待した。オモテ(=客人をもてなすための居間)がかつての奄美の民家には必ずあったが、ここでは軒下がそのオモテのような役割を果たすことを想定している。
主寝室、子ども室は最小限の寸法で抑え、小規模な平面計画ながらリビング空間やユーティリティ空間を最大限確保した。施工費の高騰から住宅規模は年々小さくすることを余儀なくされる中、特に家族人数が多い住宅としてはこういった配慮が必要とされる。
また、天井裏の気積を大きく確保し天井裏に自然給気孔と機械換気設備を設け通気ルートを確保することで、屋根から取得する日射熱を強制的に排熱し、室内まで熱気が降りて来づらい計画としている。建築の方角との関係性としては南東方向に軒を設け、西側は高さを低く抑えることで壁面積を小さくし建築全体の環境向上を図っている。 住宅は街とつながる場所(オモテ)と、街から隠れられる場所(ウラ)の両面を持つことが重要だと考える。多感な年代の子どもの存在や住み手のライフスタイル等、住み手によってそのオープン度合いは千差万別であるが、街とつながる場所で生まれる近隣や友人同士の関係性は島のコミュニティの根幹をなすものだ。オモテの半屋外空間を持つという一つのルールによって、『窯業サイディングの外壁・軒の無いボリューム・アルミサッシ』等に印象付けられる島の文脈と切り離された意匠の住宅が島の住宅の系譜に乗りコミュニティを担保し続けることを狙っている。
