NANKAI LIVING+LAB.

完成:2022年7月
敷地:鹿児島県奄美市
用途:事務所(リノベーション)
施工管理:政建設/池畑嘉教+政和豊
構造監修:円酒構造設計
建築写真:©長谷川健太

ガス会社の設備機器を展示するショールームのリニューアルプロジェクト。
ショールームとしての機能に加え、ガス料金の支払い窓口や打合せスペースも併設されている。
ショールームができてから約40年という年月を経た今、使いやすく一新したいという要望を叶えるため、元々の名称である『LIVING NANKAI』に展示や仕様検討、ミーティング等のラボ的な機能を付加した『NANKAI LIVING + LAB.』と改称した。

改修前の空間の特徴として
①それぞれの機能は未整理のまま空間がコンパクトに分断され、繋がりがあまり感じられない
②空間の用途や構成とあまり対応していない段差が多い天井
という2点が特に目についた。

今後の使い方の要望とすり合わせ、①の状況はネガティブ要素として解決し、②については40年という会社とともに歩んできたショールーム空間の文脈として残して計画を進めることにした。

まず、空間を分断していた乾式壁はほぼ全て撤去し、新たに必要となる空間の分節を床のレベル・素材を切り替えるという操作により行うことで、ショールームがひと繋がりの空間となるように再構成した。
また、床の切り替えに呼応するよう天井の一部に操作を加えており、
・自由な器具配置が可能な約300mmピッチのルーバー材で構成した展示エリア
・既存の天井をそのまま残したミーティング・受付エリア
という整理を行い、既存の天井の凹凸が新たな空間に継承されることで、ショールーム全体としてかつての面影を残している。

改修の場合はスケルトンに戻して改めて空間を構成するという選択肢もあるが、既存の空間・設えをコンテクストと捉えて線を重ね書きするように設計を行うこと=既存の建築に根付く歴史に敬意を払うことでもあると考えている。
そしてこのプロセスにより生まれる空間は、その場所のリノベーションによってのみ生まれる唯一無二な空間になるという考えのもとに設計を行った。