完成予定:2020年(施工中)
敷地:鹿児島県大島郡
用途:一戸建ての住宅
構造・規模:RC+木造2階建て
敷地面積:636.43㎡(192.5坪)
建築面積:54.65㎡(16.5坪)
延床面積:94.52㎡(28.5坪)
構造:円酒昂/円酒構造設計
施工:政和豊/政建設 + 愛川翼/愛建工業

1階の無柱リビングをRCラーメン、小さな個室群の2階を木造で構成した住宅プロジェクト。
それぞれの空間で海に向かう眺望を最大限に確保することを可能にした。

近年新たに造成・分譲された海に面する眺めの良い宅地だが近隣には集落もなく、コンテクストが希薄な場所だというのが敷地における第一印象であった。
このような土地は観光地としての市場価値がリアルタイムに見直され続けている奄美大島においては今後増えていく可能性も十分にある。建築がそのような土地に馴染むためにも、『盛土と砕石で造成され新たに作られた、文脈の希薄な土地』と『そこに新たに作る建築』とをつなぐための何かが必要と考えた。
奄美大島における伝統的な建築には「分棟」「木造」「高床」といったキーワードが散見されるが、それは「台風」「多湿」といった気候条件により導かれた形式であり、離島という地理条件から木造という選択肢しか無かったとも言える。
RCという選択肢が追加された現代において、「眺望」という唯一の土地の文脈を加えた結果、建築化した基壇の上の小さな木造住宅という構成に落ち着いた。

基壇とは社寺建築で見られる、建物がそこに建つ石等でできた壇のことである。
もともとは柱礎の水はけのために設けられ、飛鳥時代に中国大陸から伝えられた工法と言われているが、今では広義に建築が建つ壇として使われ、装飾的に用いられることもある。
風が強く、また台風の被害も大きい奄美大島においては、土地と縁を切り軽やかに見せる近代的な建築よりも、堅牢な基壇のようなあり方の方がむしろ自然のような気がして、建築の1階をRCの基壇のように見立てて計画をすることにした。
外周に設けた柱と同幅のRC壁(t=300mm)のみで構成し、海に面した南側の壁は眺望のため全開口とした。天井スラブも小梁の梁せいと同厚(t=300mm)とし、シンプルなRCのボックス形状の躯体としている。また、このスラブ・壁の厚みによって2階の木造の基礎配置はRC小梁による制限を受けず、計画の自由度を高めている。基壇でもある1階の内部はほとんど壁もなく、床・天井とも懐をほぼ取らずに仕上材の使用を極力抑えている。

大空間で構成した1階に対し、2階は小さな個室・浴室を詰め込んだ高密度な構成とした。
風圧に耐えるコンパクトな平面計画をしつつ、基壇部にかかる荷重を抑えるために木造を選択した。
個室・浴室は海に面しそれぞれ大きな開口を設け、殆どの部屋から海が臨めるようになっている。
密集した個室群の上にかけた寄棟形状の屋根は棟の部分がトップライトになっており、それぞれの部屋に天空光を採り込む構成とした。

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