完成予定:2020年9月(施工中)
敷地:鹿児島県大島郡瀬戸内町
用途:一戸建ての住宅(別荘)
構造・規模:木造2階建て
敷地面積:218.50㎡(66.1坪)
建築面積:73.71㎡(22.3坪)
延床面積:104.34㎡(31.6坪)
構造:円酒昂/円酒構造設計
施工:青井実/アオイ・ホーム

奄美大島における独立後の初プロジェクト。
美しい砂浜が眼前に広がる嘉鉄集落内の別荘の計画。

奄美大島の集落は、子供の入学・卒業祝いや冠婚葬祭等、家に人が集まることが多い。
古くから残る集落であればそれはより顕著で、その時住宅は現代における一般的なものとややその意味を異にする『住宅以上』のものになる。
このプロジェクトにおいて、別荘ながら毎年数回訪れ、ときには大所帯で滞在することもあるという性質が集落内での『住宅以上』の集まりに近いものであると感じた。

小さな1階+大きな屋根裏という構成を、1階=【オモテ】、屋根裏=【ウラ】と再定義した。【オモテ】【ウラ】とは屋根『裏』に対する『表』でもあり、奄美の伝統的古民家に見られるオモテ・ウラでもある。(※1)
オモテで個人での生活は成立し、人が集まる場合はウラまで入り込む逆転構造になっており(※2)、オモテとウラの境界の床はデッキの目透かし敷きで上下階の空気は共有される。

大きなウラのボリュームを成立させるため、台風の直撃や強風に対し小屋裏を方形形状にして見付面積を抑え風を逃がすよう計画している。また、トラスで構成することで筋交いを設けずに構造の安定化を図った。四方のキャンチレバーは隅柱から方杖を伸ばすことで木造で成立させている。
また、そのプロポーションを決定する上で、近い形式を持ち奄美の伝統的建築様式である高倉を参考とした。「よそ者が何だか変なもの建てた」と思われるよりも、「どこか懐かしいようなものができた」と感じてもらう方がクライアントも集落へ溶け込みやすいのではないか、という思いからである。そのため、外装材・屋根材ともに昔から奄美でよく使われる、木材や波板を選定している。
構造は製作金物に頼らず、一般金物を使用した納まりとした。それは奄美に流れるものづくりの文化が、島にあるものを工夫して使って作り上げてきたという歴史を持つということに対する私自身の中にある尊敬の念からである。そのため、プレカットの際には軸組を全て3D化して各部材の寸法・角度を起こした指示を出してから工場の加工に入っている。

※1:奄美の古民家の主屋は【オモテ(前室)】【ウラ(後室)】の2室構成が基本となっている。
※2:奄美の古民家においてはオモテは客室、ウラは寝室となることが一般的。
 

出展
・「初出展03」@BankART

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